子宮腺筋症
子宮腺筋症は、本来は子宮内に限局する子宮内膜様組織が、子宮筋層内に認める病気です。子宮をびまん性に腫大させ、月経困難症・過多月経などの月経随伴症状や性交痛・排便痛・慢性骨盤痛・腹満感などの原因となる疾患です。子宮内膜症・子宮筋腫などの疾患と合併することも多いです。妊娠分娩・流産・子宮手術(子宮内容除去術、帝王切開術など)などが発症のリスク要因となり、30~50代の女性に好発します。近年、超音波・MRIなどの画像検査の進歩により診断される機会が増えています。
子宮腺筋症は症状により、生活の質を著しく損なうだけでなく、不妊症および流産を増加させることが知られています。子宮腺筋症と妊娠中の合併症との関連も示唆されており、東大病院における子宮腺筋症合併妊娠においては妊娠第2期流産、妊娠高血圧症候群、前置・低置胎盤、早産などの周産期合併症の増加が認められました。 卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンにより子宮腺筋症は活性化し、症状を増悪させるため、子宮腺筋症に対する薬物療法はエストロゲンの分泌・作用を抑えることを目的として使われているものが多いです。
子宮腺筋症は症状により、生活の質を著しく損なうだけでなく、不妊症および流産を増加させることが知られています。子宮腺筋症と妊娠中の合併症との関連も示唆されており、東大病院における子宮腺筋症合併妊娠においては妊娠第2期流産、妊娠高血圧症候群、前置・低置胎盤、早産などの周産期合併症の増加が認められました。 卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンにより子宮腺筋症は活性化し、症状を増悪させるため、子宮腺筋症に対する薬物療法はエストロゲンの分泌・作用を抑えることを目的として使われているものが多いです。
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治療
- 子宮腺筋症の治療として、以下のような薬物療法・手術療法が行われています。
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薬物療法鎮痛剤:NSAIDs、アセトアミノフェンなど漢方:当帰芍薬散など低用量ピル:エストロゲン・プロゲスチンの合剤の内服薬です。卵巣からの内因性のエストロゲンの分泌を抑える働きがあります。近年では従来の月1回の休薬期間(出血する期間)を設ける周期投与だけではなく、連続投与することで出血する回数を減らし、子宮腺筋症による症状緩和を図ることなども行われています。ジエノゲスト:卵巣ホルモンの1つである黄体ホルモン(プロゲスチン)製剤の内服薬です。エストロゲンに拮抗することで子宮腺筋症の症状緩和を行います。GnRHアナログ:卵巣から分泌される女性ホルモンが子宮腺筋症を活発化させるため、卵巣から分泌される女性ホルモンを閉経状態にまで減らし、無月経とすることで症状緩和を図ります。偽閉経療法と呼ばれ、内服薬・注射薬・点鼻薬などがあります。症状緩和としての治療効果は大きいですが、更年期症状などの副作用があることが多く、保険適応としては最大6か月間しか使用できません。レボノルゲストレル放出子宮内システム:子宮内に留置する器具であり、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を放出します。内服する必要がなく、一度留置すると4~5年は効果が継続します。
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手術療法子宮腺筋症核出術:挙児希望がある方が対象であり、子宮腺筋症の病巣部分のみを切除し、子宮を温存する術式です。子宮腺筋症による出血・疼痛などの症状緩和に優れた効果があります。妊娠中の合併症が多いことから、高次医療機関での管理が望ましいと考えており、可能であれば東大病院での妊婦健診・分娩をお勧めしています。この手術は保険適応がありません(2022年7月現在)が、東大病院では先進医療として行っております。妊娠後は高次医療機関での管理が望ましいため、可能なら東大病院での妊婦健診・分娩をお勧めしています。
また、不妊症の方には、体外受精と手術を組み合わせて、包括的な治療(当科ではECBSと呼んでいます)を行うこともあります。詳細はECBSのページをご覧ください。子宮全摘術:挙児希望がない方に対して、根治的な術式として子宮を摘出する術式です。東大病院では、開腹手術だけでなく、腹腔鏡手術・ロボット支援下手術などの低侵襲手術も行っております。どの術式が適切かはMRIなどでの子宮の大きさ・癒着の程度などにより判断することとなりますが、可能な限り傷の小さな低侵襲手術を行うことを目指しています。
受診希望の方は、
女性診療科・産科 子宮腺筋症初診外来
を受診してください
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