前がん状態である子宮頸部異形成や早期子宮頸がんには自覚症状はありません。がんの進行とともに、帯下異常や性器出血を認めることがあります。
子宮頸がんの進行期は、子宮頸部の局所での広がりと、他の臓器への広がりから分類されます。国際産婦人科連合(FIGO)2018年版では、子宮頸がんの進行期は以下のように分けられます。

I期:がんが子宮頸部に限局するもの
 IA期:肉眼的にはっきりしない病変で、垂直方向に5mmまでの病変
  IA1期:垂直方向の浸潤が3mmまでの病変
  IA2期:垂直方向の浸潤が3mmを超え5mmまでの病変
 IB期:肉眼的に明らかな病変、または、IA期の基準を超える大きさの病変
 IB1期:病変が2cmまでの病変
  IB2期:病変が2cmを超え、4cmまでの病変
  IB3期:病変が4cmを超える病変

II期:がんが子宮頸部の外に広がっているが、骨盤壁や腟の下1/3まで達しない
 IIA期:腟方向への広がりはあるが、骨盤壁の方向(傍子宮組織)への広がりはない
  IIA1期:病変が4cmまでの病変
  IIA2期:病変が4cmを超える病変
 IIB期:骨盤壁の方向(傍子宮組織)への広がりを認める

III期:がんが子宮頸部の外に広がっており、骨盤壁や腟の下1/3まで達する
 IIIA期:腟の下1/3まで達するが、骨盤壁までの広がりはない
 IIIB期:傍子宮組織への浸潤が骨盤壁まで達する
 IIIC1期:骨盤リンパ節に転移がある
 IIIC2期:傍大動脈リンパ節に転移がある

IV期:がんが小骨盤を超えて広がる(遠隔転移がある)か、膀胱や直腸粘膜まで広がる
 IVA期:膀胱粘膜や直腸粘膜をおかす病変
 IVB期:小骨盤を超えて広がる(遠隔転移がある)
子宮頸がんの治療方法は、臨床進行期により異なります。

前がん病変:レーザー蒸散術や、子宮頸部円錐切除術を行います。
IA1期:子宮摘出術(一部のIA1期では円錐切除術)
IA2期:子宮摘出術(準広汎子宮全摘術)、リンパ節郭清術
IB1期:広汎子宮全摘術(リンパ節郭清術を含む)もしくは放射線療法
IB2―IIB期:広汎子宮全摘術(リンパ節郭清術を含む)もしくは(化学)放射線療法
IIIA, IIIB, IVA期:(化学)放射線療法
IVB期:抗がん剤治療
子宮頸がんの手術としては、基本的には子宮摘出を行います。
妊孕性温存を希望される患者さんには以下の妊孕性温存治療を行う場合もあります。子宮頸がんの手術の方法は、広汎子宮全摘術という子宮周囲の組織も一緒に摘出して再発率を下げる工夫をしています。
子宮頸がんの手術を行ったあとは、摘出物の病理検査結果に基づいて再発リスクを分類します。再発の可能性が高い患者さんには、術後に放射線(化学)療法を追加することがあります。
放射線療法は、子宮や周辺組織やリンパ節に対して放射線をあてることで子宮頸がんを治療することを目的としています。
放射線療法は、皮膚や腸、膀胱などの周辺の臓器に放射線があたることで皮膚炎や腸炎、膀胱炎などの副作用が問題となります。
当院では、強度変調放射線治療(IMRT)を用いることで周辺の臓器を守り、病気のある部分に集中的に放射線をあてることができる治療法を選択しています。放射線化学療法を行う場合には、1週間に一度抗がん剤を点滴することが特徴となります。
子宮頸がんの治療を行うと基本的に妊娠はできなくなりますが、妊孕性(妊娠の可能性)を温存する治療方法として、極早期の子宮頸がんに対しては、円錐切除術で治療を終えたり、小さな子宮頸がんの場合は、広汎子宮頸部摘出術を行ったりします。
対象となるのは基本的には42歳以下、外方発育型で腫瘍径2cm以下、子宮頸部にとどまるIB1期となります。