多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経のある年代の女性の15%程度がかかっているとされている頻度の高い病気です。なかでも排卵障害(月経不順、あるいは月経がきていても無排卵)の最大の原因と言われています。
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診断
- 日本産科婦人科学会の診断基準に基づいて、排卵障害、多嚢胞卵巣(超音波検査で卵巣に小さな袋状の部分がたくさん見える)、下垂体より分泌される黄体化ホルモン(LH)高値、の3項目の有無により行います。
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治療
- PCOSに対して通常行われている治療は以下のようになります。
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現在お子さんがほしい方:排卵誘発剤などを用いて、排卵を起こします。排卵誘発剤が有効でない場合や効きすぎて卵が育ちすぎてしまう場合には、妊娠に結びつく卵の数を制御するために体外受精治療や腹腔鏡下に卵巣の一部を焼灼する治療を行います。現在お子さんの希望がない方:定期的に月経を起こすために、ホルモン剤を使用します。月経の間隔が長い状態では、特に30代以上になると、子宮体がん(子宮内膜から発生するがん)のリスクが高くなります。
- しかし、PCOSは単に卵巣や子宮に影響を与えるだけの病気ではありません。PCOSは図に示すように生殖機能異常と代謝異常が複雑に絡み合った症候群で未解明な部分がまだまだ多い病気です。
具体的には、PCOSの方では糖を分解する力(耐糖能)が弱い方の割合がPCOSでない方に比べて多いことが知られています。
- 通常耐糖能低下は肥満と関連しますが、PCOSの方の場合肥満の有無とは関係なく、また耐糖能の低い方は将来糖尿病になるリスクが高いこともわかってきました。
さらに、PCOSの方では妊娠中に妊娠糖尿病などの周産期合併症のリスクが高くなることもわかってきました。そのため排卵誘発剤を使用して妊娠できたらよい、というのではなく、PCOSの方に対しては、お子さんがほしくなる前から全身状態を整えるプレコンセプションケア、さらに妊娠中、出産後も含めた長期的な健康管理の必要性が認識されるようになってきました。
当科では、PCOSの方に対して、的確に状態を把握し、ライフステージに応じた長期的な健康管理をサポートしていきます。
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